研究課題
本研究では,対話システムがユーザと対話を行う中,ユーザの価値観を推定し,それを対話戦略に活用することで,人と情報システムとのスムーズなインタラクションを支援する技術の確立を目指している.本研究の成果は誰もが簡単に自分の興味や関心,および潜在的なニーズに合わせた情報サービスを受けられる社会の実現に貢献する.前年度までに,人間同士の対話ログから話者の価値観推定を行うニューラルネットワークベースのモデルの提案を行ったが,平成30年度には,本モデルの対話モデルへの応用を見据え,提案モデルの分析と,性能向上のための取り組みを実施した.その結果,提案モデルはユーザの発話に含まれる単語だけを考慮しているのではなく,文意を結果に反映できるモデルであることが明らかとなった.また,性能向上のための効率的なデータ収集方法についても明らかにした.本研究の成果は論文誌に掲載済みである.また,昨年度に引き続き,対話モデルの性能向上のための研究も実施した.今年度は破綻検出手法を対話システムに適用し,被験者実験を行った.その結果,破綻検出手法の適用により性能は向上したものの,「そうですか」や「はい」のような簡潔な応答が増加した.また,被験者のアンケートでも,自然さは増加したものの,対話の楽しさは減少することが明らかとなった.ただし,全体的な満足度は破綻検出手法の適用により向上した.本研究の成果についても論文誌に掲載済みである.
3: やや遅れている
今年度は,提案したユーザの価値観推定モデルを対話システムに適用する計画であったが,プロトタイプの試作に留まり,効果的な手法の確立までは到達できなかった.ただし,対話破綻検出についてはシステムへの適用が完了したほか,2編の論文が論文誌に掲載されるなど,体外発表については積極的に実施した.
今後は,提案したユーザの価値観推定モデルを対話システムに適用する方法を検討する.
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人工知能学会論文誌
巻: 34 ページ: B~I64_1-8
https://doi.org/10.1527/tjsai.B-I64
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Computer Speech & Language
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