研究実績の概要 |
本研究は、考古学関係用語シソーラスおよび考古学関係用語の日英対訳データベースを構築し、全国の発掘報告書の全文データを格納している「全国遺跡報告総覧」システムを拡張開発することで日本考古学の国際化に資することを目的とする。 2016年度は、考古学関係用語の収集、基本的な考古学用語シソーラスおよび日英対訳を作成した。考古学関係用語は46181語を収集した。考古学は、文化財保護行政や文化財科学とも密接に連携しているため、文化財に関係する用語を収集した。用語は、遺物関係、遺構関係、その他の3つの種別に分類した。遺物関係は9311語、遺構関係は4751語、その他は32119語で合計46181語となった。なお「住居跡」と「住居址」のような類語は整理しておらず、用語のパターンの網羅をまず目的とした。この用語辞書をもとに、報告書類18,868件が保持するデータ(PDFページ数2,280,897,収録文字数1,515,825,312)を対象に出現回数を集計し、「報告書ワードマップ」として図に可視化した。 日英対訳辞書では、英語の考古学関係用語を日本語に自動変換し、類語付与したうえで検索する機能を2016年8月に公開した。日本の発掘報告書を閲覧するには、日本語の習得が必要になるが、海外の利用者の日本語習熟レベルは様々であり、円滑な情報アクセスに課題がある。本機能によって日本語の考古学用語を知っていない場合でも、英語で日本の発掘報告書を調べることが可能になり海外に向けた日本考古学の成果発信に一助となる。
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