研究課題/領域番号 |
16H05884
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
服部 祥平 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (70700152)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 三酸素同位体組成 / 硫酸 / 硝酸 / エアロゾル / 大気酸化力 |
研究実績の概要 |
本研究は4年計画で、氷床コアの分析・解析によって過去の人間活動と窒素・硫黄循環や大気酸化過程の変遷を復元することを目的としている。当該年度は、SE-Domeコアの硫酸の三酸素同位体組成を約3-5年の解像度で全期間(60年間)に渡り復元した。その変化と対応する硫酸生成過程の変化に関して考察を進めている。また、グリーンランドや南極のような極地以外にも山岳氷河が存在しており、これらの同位体組成を分析し比較することを着想し、中央アジアのベルーハのアイスコアの硝酸同位体組成を過去100年に渡り復元することに成功した。さらに、アイスコアだけでなく、本研究計画で開発手法を各種大気エアロゾルの分析にも適用が進み、大気-雪氷圏における様々な大気化学プロセスの解析に硫酸・硝酸の三酸素同位体組成が有効であることを示されつつある。 特に、本研究で用いた硫酸の三酸素同位体組成の分析を南極DomeCコアの火山ピークに適用することで、過去2600年間の地球寒冷化を引き起こす大規模火山噴火の記録を復元する研究を行い、フランス・アメリカと国際共同研究によりNature Comm.誌に成果発表しプレスリリースを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アイスコアのカットや表面切削がすでに終了し、硝酸の同位体分析に関して終了することができた。また、計画後半にむけてサーバーの導入やモデルの構築が順調に進んでいる。最終年度に論文化を進めるための分析のほとんどは完了した他、当初予定していたグリーンランドアイスコア以外のコア、特に中央アジアコアに対して同手法を適用することが開始でき、世界中の複数のコアに本手法を適用する基盤が整いつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は得られた結果の論文化を推進する他、世界中の複数のアイスコアを用いた本研究手法のグローバル化を推進する。
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