転写因子AhRの活性化が動物個体に引き起こす影響についてphospholipase cPLA2aの重要性が本年度までの研究で明らかになった。一方で、cPLA2a以外に生体影響に寄与する遺伝子が存在する可能性が考えられた。そこで、cPLA2aと同じ発現制御を受けるPLA2遺伝子があるのではないか、あるいはcPLA2a欠損を相補するPLA2遺伝子があるのではないか、ということについて検証した。マウスを用いた実験研究の結果、cPLA2aと同様の遺伝子発現制御を受けるPLA2遺伝子としてとしてPnpla7、Pnpla2、Pla2g7を同定した。cPLA2a欠損を相補すると考えられるものはPLA2遺伝子群のなかにみつからなかった。以上のことから、AhRの活性化を受けて生体影響が生じる際にcPLA2aと同様の作用を示す遺伝子群が存在しこれらの総和によって影響の程度が決まると考えられた。
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