研究課題/領域番号 |
16H05896
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
甲斐田 直子 筑波大学, システム情報系, 助教 (60456704)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 環境配慮行動 / 価値観 / 潜在連合テスト(IAT) / 潜在的環境態度 / 都市環境 / 行動変容 |
研究実績の概要 |
2016年度は、潜在的・顕在的な環境態度・環境配慮行動をそれぞれ計測する手法の設計と妥当性検証および態度・行動変容促進方策の予備検討を行った。具体的には、これら4項目間の関係性を明らかにするとともに、映像視聴による変容方策の効果検証を行った。まず、文献調査および研究協力者との議論にもとづいて、計測に使用する実験プログラムと質問紙調査の設計を検討した。これらの予備検討を経て、環境態度と環境配慮行動意図を計測するための潜在連合テスト(IAT)および質問紙を作成した。質問紙では、環境態度・行動意図を尋ねる質問項目のほか、価値観や気分などを計測する項目を設けた。また、変容方策の検証のために、公園や緑道などの自然環境、ビルや道路などの人工環境、両者が混在した環境(混合環境)をそれぞれイメージさせる3つの映像資料を作成した。 予備実験(n = 106)による実験・質問紙回答データを用いた相関分析の結果、潜在的環境態度と顕在的環境態度、潜在的環境態度と潜在的環境配慮行動意図の間にはそれぞれ正の有意傾向が認められた。顕在的環境配慮行動を目的変数とする重回帰分析では、顕在的環境態度は正に有意な関係にあることが認められた一方で、潜在的環境態度・行動は有意な結果は得られなかった。 映像視聴による変容効果(被験者間比較)は、自然環境映像視聴条件では、顕在的環境態度および顕在的環境配慮行動意図(節電、交通)が有意に向上した。一方で、人工環境映像視聴条件では、顕在的環境配慮行動意図(ごみ分別)が有意に低下した。潜在的態度・行動は、いずれの条件でも有意な変化は認められなかった。 これらの予備実験結果について、研究協力者と討議し、実験設計の改良と本実験計画を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験・質問紙調査設計において、おおむね順調に進行している。異なる文化圏における固有の価値観の分析方法検討については、より詳細な検討を必要とする。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度に行った予備実験結果をふまえて、実験・調査方法を改良する。また、研究対象国文化圏における固有の価値観および効果的な行動変容方策について、各国研究協力者との検討を推進する。
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