研究課題/領域番号 |
16H05897
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山田 苑子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (30716634)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 悪液質 / REE |
研究実績の概要 |
頭頸部癌および消化器癌患者の悪液質の頻度を調査した。また、頭頸部癌患者の代謝測定および体組成測定を主に行った。 頭頸部癌患者64名のうち、Fearonらの診断基準で悪液質に該当した患者は22名(34%)であった。消化器癌患者416名のうち、悪液質は199名(47.8%)であった。癌種ごとの内訳では、胃癌130名中59名(45.4%)、大腸癌161名中88名(54.7%)、肝臓癌59名中23名(39.0%)、膵癌31名中24名(77.4%)、胆管癌35名中23名(65.7%)が悪液質に該当した。 頭頸部癌患者15名のREEを実測し、Harris-Benedict式から推定した基礎代謝量(basal energy expenditure; BEE)とREEを比較した。頭頸部癌患者15名のREE/BEE=1.08±0.22であり、健常者13名のREE/BEE=0.87±0.03に比し、有意に高かった(p<0.01)。体重あたりのREE(REE/BW)を比較すると、頭頸部癌患者では23.5±0.6、健常者では21.9±0.6であり、頭頸部癌患者で高い傾向にあった(p=0.07)。呼吸商について比較すると、頭頸部癌患者の呼吸商は0.87±0.01、健常者の呼吸商は0.85±0.01であり、有意差はみとめられなかった(p=0.32)。 また、REEを測定できた頭頸部癌患者15名のうち、Fearonらの診断基準で悪液質に該当した患者は6名(40%)であった。悪液質群と非悪液質群のREE/BEEを比較すると、悪液質群のREE/BEE=1.11±0.05、非悪液質群のREE/BEE=1.05±0.04であり、有意差はみとめられなかった(p=0.29)。一方、体重あたりのREE(REE/BW)を比較すると、悪液質群では25.1±1.0、非悪液質群では22.5±0.8であり、悪液質群の方が高い傾向にあった(p=0.06)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
REE測定およびメタボローム解析については、体制整備に時間を要し、当初予定していた症例数に現時点では到達していない。並行して、悪液質の頻度、治療中の栄養投与量や体組成を評価し、がん患者の栄養状態について詳細な検討を進めているところである。以上より、達成度はやや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
がん患者の安静時エネルギー消費量測定およびメタボローム解析の体制整備を進め、より多くの症例で実施していく。並行して悪液質の頻度調査および体組成測定などのデータベースも蓄積する。得られたデータから、がん患者におけるエネルギー代謝変化及び栄養素代謝変化を検討する。
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