研究課題/領域番号 |
16H05914
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
島 圭介 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50649754)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ライトタッチコンタクト / 転倒予防 / 転倒リスク評価 / 体性感覚刺激 |
研究実績の概要 |
申請者は人間の周りに機械特性を持つ仮想壁を作り,壁への接触反力を振動刺激によって知覚させてあらゆる空間で立位姿勢を安定化する方法論,Virtual Light Touch(VLT)法を提案した.本研究の目的は,VLT 法に基づいて(1) 立位機能を表現する立位インピーダンスと視覚,体性感覚,前庭感覚の重み状態を表現する新しい感覚重み付けインピーダンス(Sensory Weighting Impedance) モデルを考案するとともに,(2) 転倒リスクを評価するための立位機能定量評価インデックス(SFE index) を開発し,(3) 立位&感覚インピーダンス推定システムによって立位評価と歩行と立位にかかわる機能の訓練支援を実現することである. 本年度は,主に仮想壁モデルを利用した安定/不安定立位状態変化の誘発法の提案,[2]立位機能評価システムの考案を目的として研究活動を実施した.我々は仮想的な壁によって不安定な立位状態を安定化する方法論としてVLT 法を提案している.VLTC は被験者の身体の周りに仮想的な壁を構成し,壁に触れた際の反力を振動刺激としてフィードバックすることで姿勢動揺の安定化が可能である.本年度は,VLTCを利用した安定/不安定状態変化の誘発法を提案した.具体的には,VLTC における仮想的な壁からの反力のパラメータセットをN 個用意し,リアルタイムでパラメータを変更することで被験者に与える反力状態を変化させる.例えば,パラメータが{0, 0, 0} のときにはF0(t) = 0 となり,壁からの反力が無くなった状態になる.これにより不安定な立位状態の誘発を擬似的に再現した.フォースプレートとKinect,モーションキャプチャを用いた身体情報を計測・評価し,被験者に大きな負担を与えることなく立位状態にかかわる特徴量をレーダーチャートとして評価する新しいシステムを考案した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本計画では,VLT法に基づく仮想壁パラメータの制御によって被験者の立位状態を変化させる方法論がコア技術となっている.本年度には既にそのコア技術の確立によって立位機能を簡易的に評価する方法論を実現しており,その有用性は極めて高い.また,既に複数企業の健診において提案立位評価システムの導入を進めており,提案法の企業検診における有効性を示しつつある.以上のことから,本計画の想定以上の進展と今後のさらなる発展が期待される.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は立位時における筋力状態とインピーダンスを評価するための立位インピーダンス評価システムを開発する.さらに,立位時における3感覚系(視覚,前庭覚,体性感覚)に刺激を与えて立位時の感覚状態を定量評価・視覚化する新しい方法論を構築することを目指す.本年度までに構築した立位機能評価システムを用いた大規模実験を実施し,加齢に伴って生じる立位機能の変化と転倒リスクの関係性を評価し,転倒に寄与する因子を明らかにすることを目指す.さらに,普及のための小型デバイスの開発を実施するとともに,様々な症例に対するVLT法の適用可能性について探る.
|