• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実績報告書

環境転写因子Nrf1による基礎抗酸化力の底上げと加齢トレンド変換

研究課題

研究課題/領域番号 16H05922
研究機関佐賀大学

研究代表者

辻田 忠志  佐賀大学, 農学部, 講師 (20622046)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードNrf1 / 老化
研究実績の概要

環境転写因子Nrf1と老化の関与について個体で解析を進めている。老化モデルマウスKlotoにおいてNrf1の発現量を上下させることで寿命に変化をきたすことを発見した。現時点では現象論にとどまっているため、生化学的な裏づけを取るために、本年度は1)小型魚類システムを導入して、9つの老化サロゲートマーカーの過剰発現および欠失構築の作出を完了した。2)遺伝子改変マウスのコロニーを増強し、代謝物解析の個体数を増加させた。3)低分子代謝物解析からポリアミン代謝経路の変化を見出し、老化介入方策について培養細胞で検証した。
近年、Nrf1 がプロテアソームの構成因子を統一的に誘導することが明らかとなっているため、多くの研究者の注目を集めている。最近ではnrf1がコレステロール含量のセンサーとなることや、低温ストレスを感知して安定化することなどが報告されている。本年は、nrf1と老化の関連にこれらの結果を導入するために、検証実験をおこない、培養細胞で確からしい結果を得た。今後は、抗老化方策にも導入するために個体での実証研究も行う予定である。
Nrf1の活性化化合物の探索においては、ほぼ全てのライブラリのスクリーニングを完了し、特に東北大学化合物ライブラリから新規の骨格を持つnrf1の安定化化合物を取得しており、最適化化合物について検証を進めた。一つの化合物は、プロテアソームの阻害活性を示したので除外した。その他の化合物については、プローブ化の検討を依頼している。加えて、Nrf1の阻害活性を持つ化合物の探索のために、DDI-2の遺伝子改変Nrf1モニター細胞を樹立した。現在、S/Nの向上について検証中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

微生物感染による清浄化が必要となったため、各種Nrf1マウスおよび老化モデルマウスの交配が一時停滞したため、十分かな遺伝子改変マウスを得ることができない状態にあったが、現在は順調にコロニーが回復している。その代換手法として小型魚類を用いた解析手法を立ち上げた。現時点で遺伝子過剰発現およびCRSPR/CAS9システムを活用した、遺伝子欠失手法を導入済みであり、今後老化サロゲートマーカーの検証に役立てていく予定である。このうち、老化に関与すると予想される場合には、マウスにおいて遺伝子改変マウスを樹立することを視野に入れている。
また、nrf1の抑制化合物のスクリーニング系の樹立を試み、大規模化合物スクリーニングを実施可能となりつつある。すでに取得したnrf1活性化化合物については、最適化を進めるとともに、標的タンパク質を同定するため、nrf1活性化合物をプローブ化して探索するように化合物の改変を進めた。
以上の理由から、順調に進展していると評価する。

今後の研究の推進方策

遺伝子改変マウスの個体数を確保するとともに、同時に、nrf1活性化および抑制化合物での介入実験を行う予定である。マウス実験に先立って、昨年度構築した、小型魚類飼育系においても実証研究を計画している。現在までに9つの老化サロゲート遺伝子を取得しているが、この遺伝子を調整した時の表現系についても小型魚類を用いて実証研究を進める予定である。
また、低分子代謝物の解析においては、個体数が揃い次第、サンプリング方法などを変更して、改めて実施する予定である。すでに発見しているポリアミン代謝経路については、遺伝子改変マウスおよび、小型魚類で、遺伝子の発現変化を明確にしたのちに、代謝物による介入実験を試みる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Nrf2 activation attenuates genetic endoplasmic reticulum stress induced by a mutation in the phosphomannomutase 2 gene in zebrafish.2018

    • 著者名/発表者名
      Mukaigasa K*, Tsujita T*, Nguyen VT*, Li L*, Yagi H, Fuse Y, Nakajima-Takagi Y, Kato K, Yamamoto M, Kobayashi M.
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci USA,

      巻: 115 ページ: 2758-2763

    • DOI

      10.1073/pnas.1714056115.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A ubiquitin-proteasome inhibitor bortezomib suppresses the expression of CYP11B2, a key enzyme of aldosterone synthesis.2017

    • 著者名/発表者名
      Ito R, Sato I, Tsujita T, Yokoyama A, Sugawara A.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 489 ページ: 21-28

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2017.05.109.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Time-resolved fluorescent detection for glucose using a complex of luminescent layered titanates and enzymes.2017

    • 著者名/発表者名
      Sakaguchi Y, Minamikawa T, Yamamuro M, Tsujita T, Ueda T, Kamada K, Soh N.
    • 雑誌名

      Anal Sci

      巻: 33 ページ: 989-991

    • DOI

      10.2116/analsci.33.989

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Induction of erythropoietin gene expression in epithelial cells by chemicals identified in GATA-inhibitor screenings.2017

    • 著者名/発表者名
      Kaneko H, Katoh T, Hirano I, Hasegawa A, Tsujita T, Saya H, Yamamoto M, Shimizu R.
    • 雑誌名

      Genes Cells

      巻: 22 ページ: 939-952

    • DOI

      10.1111/gtc.12537

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ストレス応答転写因子Nrf1を特異的に活性化する誘導剤の探索.2017

    • 著者名/発表者名
      福元雄大, 辻田 忠志.
    • 学会等名
      平成 29年度日本生化学会九州支部例会
  • [学会発表] ストレス応答転写因子Nrf1を特異的に安定化する誘導剤の探索.2017

    • 著者名/発表者名
      福元 雄大, 辻田 忠志, 川口 真一.
    • 学会等名
      2017年度生命科学系学会合同年次大会
  • [学会発表] Possible link and future direction between stress transcriptional factor Nrf1/2 and NGLY12017

    • 著者名/発表者名
      Tadayuki TSUJITA
    • 学会等名
      4th Global NGLY1 Conference
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 佐賀大学農学部生化学分野辻田忠グループのホームページ

    • URL

      http://seika.ag.saga-u.ac.jp

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi