研究実績の概要 |
1) 1シナプス間を逆行性に輸送されるウイルスベクター(Rabies)を用い、Tyrosine-hydroxylase(Th)-Creラットの青斑核ノルアドレナリン細胞全体への入力について検討を行った。マウスの青斑核ですでに報告されていたように、ラットにおいても扁桃体中心核、分界条床核、視床下部外側野などからの入力があることが確認できた。 2) 恐怖条件づけと消去には異なるノルアドレナリン神経群が関与することを我々は明らかとしている。次に報酬学習とその消去過程においてノルアドレナリン神経が関与するかを検討するため、ラットを用いた行動実験系の立ち上げを行った。恐怖条件づけと同様の日数で報酬学習と消去を行うことができる最適な条件を見つけることができた。 3) ノルアドレナリン神経の活動を捉えるためにカルシウムプローブであるGCaMPの青斑核における発現を検討した。Th-Creラットの青斑核ノルアドレナリン神経特異的にアデノ随伴ウイルスを投与してGCaMPを発現させようと試みた。しかしながら、検討したGCaMP(6f,6m,6s,G-CaMP7,G-CaMP8など)においてラットのノルアドレナリン神経には発現しなかった。一方でTh-Creマウスにおいて発現をみたところ、マウスの青斑核ではGCaMPが発現することが明らかとなった。 4) 青斑核の多様性に関する論文投稿を行った。査読者より必要とされたChR2を用いる追加実験を行い、前頭前野に投射するノルアドレナリン神経を活性化させると恐怖記憶の消去が阻害されること、それは前頭前野のa1受容体によるものであることを明らかとした。
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