1)異なる青斑核神経群への入力元の解明:青斑核神経への解剖学的な入力について検討をした。既存のRabiesSAD19株ではウイルスに効率もしくは神経回路特異的な標識があるためかうまく標識できない脳部位が存在した。そのため効率的かつ長期的に細胞に感染可能な改変型Rabiesを作製した。このウイルスにてトレーシングを行ったところ従来のものよりも多くの細胞が感染し、青斑核ノルアドレナリン神経に入力するものをより多く標識することができた。扁桃体中心核や分界条床核といったいくつかの脳部位が特異的に青斑核に入力をしていることを明らかとした。また新たに順行性の経シナプスウイルスについても検討を行い有効性を確認した。前頭前野の異なる領域が青斑核に入力していることを確認した。 2)青斑核神経応答の解明:カルシウムイメージングを用いることにより青斑核の神経応答をとらえることを検討した。青斑核特異的にカルシウムセンサーを発現させてGRINレンズを留置し、GRINレンズ越しのシグナルを観察した。青斑核は脳室に近いためにイメージング用のレンズを埋めても脳室の律動によるアーティファクトが多いことが判明した。そこで電気生理による記録に切り替えて投射神経群を記録することに成功した。またイメージング用のアーティファクトを減らす方法についても検討を行った。 3)遺伝子発現の網羅的解析:異なる細胞群を染め分ける新規ウイルスの作製を行った。
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