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2017 年度 実績報告書

バイアスから探る道徳的思考の不合理性と多元性

研究課題

研究課題/領域番号 16H05933
研究機関新潟大学

研究代表者

太田 紘史  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (80726802)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード道徳的責任 / 道徳判断 / 実験哲学
研究実績の概要

本年度は、道徳的思考の多元性の解明が哲学的諸議論に対して持つ含意について、集中的に研究を進めた。
まず道徳的責任の帰属に関して、道徳的責任と決定論との両立可能性についての一貫しない思考傾向の解明が、哲学的な自由意志論における諸議論にどのような含意を持つのかを検討した。とりわけ、それら哲学的諸議論において訴えられているのは両立可能性に関連した個別的直観だけでなく、道徳的責任を帰属するという実践における人々の一般的コミットメントであることを明らかにするとともに、そうしたコミットメントを解明するという点で道徳的思考にまつわる経験的知見が哲学的な自由意志論に対して十分な含意を持ちうることを明らかにした。以上の成果は、計2件の口頭発表で報告した(国際研究会1件、国内学会1件)。
また道徳的責任の帰属を超えた多様な道徳的思考や社会的認知に射程を広げ、そのバイアスや複合性が哲学の基礎的問題に潜在している可能性について検討を開始した。とりわけ、心的なものの認知と物理的なものの認知が相互に競合するような思考傾向が、意識にまつわる心身問題の形成に関与しているという可能性について、検討を開始した。加えて、道徳判断が人格の通時的同一性の判断に及ぼす影響が、人格の通時的同一性にまつわる形而上学的議論においても働いている可能性について検討を行った。以上の検討の成果は、計1件の口頭発表と計3件の論文等において報告した(国内研究会1件、雑誌論文1件、ブックチャプター2件)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記の通り、道徳的責任にまつわる研究が進展したことに加えて、研究を道徳的思考の諸側面へと拡充することができたため、おおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

引き続き、学会等での口頭発表と学術論文の出版に向けて努めるとともに、検討対象となる道徳的思考の範囲をさらに拡充することで、研究の射程を広げていく。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 意識をめぐる物理主義と反物理主義のバトルライン2017

    • 著者名/発表者名
      太田紘史
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 45(21) ページ: 133-153

  • [学会発表] 実験哲学への誤解反論に潜む誤解:フランクファート型事例の場合2018

    • 著者名/発表者名
      太田紘史
    • 学会等名
      応用哲学会第10回年次研究大会
  • [学会発表] The Complex Nature of the Concept of Free Will2017

    • 著者名/発表者名
      Koji Ota
    • 学会等名
      Hiroshima Philosophy Forum #1 Mind and Cognition
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 意識のハード・プロブレムは自然化できるか:論争史と新たな展望2017

    • 著者名/発表者名
      太田紘史
    • 学会等名
      北海道大学講演会
    • 招待講演
  • [図書] ワードマップ心の哲学2017

    • 著者名/発表者名
      信原 幸弘
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      新曜社
    • ISBN
      4788515253
  • [図書] 時間・自己・物語2017

    • 著者名/発表者名
      信原 幸弘、佐金 武、太田 紘史、中山 康雄、伊佐敷 隆弘、福田 敦史、米田 英嗣、高橋 泰城
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      春秋社
    • ISBN
      439332370X

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公開日: 2018-12-17  

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