研究課題
若手研究(A)
本研究では、道徳判断や道徳的意思決定を支える心理過程やそれに含まれるバイアスに関する経験的知見を踏まえ、人間の道徳的思考がどのような多元性や不合理性を含んでいるのかに関する記述的理解を図るとともに、そうした記述的理解がこれまでの倫理学上の諸問題に関してどのような規範的含意を持ちうるのかについて照合的な検討を行った。またこの検討を通じて、道徳的責任・行為者性・道徳の客観性に関する倫理学上の論争をはじめとした理論的問題にとって、記述的理解が規範的含意を持つ理路を明確化した。
哲学・倫理学
本研究は、倫理学上の論争における経験的知見の方法論的役割の明確化や、道徳的責任や行為者性にまつわる論争の歴史的な再理解をもたらすものである。またその一部は、自由意志の概念/信念の認識的起源に関する洞察をもたらすものであり、この点は今後の研究でさらなる展開を図る予定である。