研究課題
平成29年度4ー6月には絵描写課題実験で使用するイベントの妥当性についてタロコ語母語話者と検討し、単文で描写可能な適切な動作を選定し、線画事象80枚を完成させた。平成29年度7月には自主性を操作した身体運動を伴う実験パラダイムならびに視線計測手法を視線計測装置(TX300)・Python・PsychoPyを用いて確立した。平成29年度8月には台湾でタロコ語母語話者30名を対象に予備実験ならびに本実験を行った。有効な産出データは30名、視線計測データに関しては29名であった。平成29年度9-12月にはタロコ語母語話者1名にタロコ語産出文の書き起こしと、ヴォイス・語順をベースに産出文の分類を依頼し、成果を得た。また産出文ならびに視線計測データの分析を行った。10月にはハワイ大学言語学部の "Austronesian Circle"で「Psycholinguistics goes to the field: Effects of physical actions on event apprehension and selection of voice and word order in the Truku language」というタイトルで招待講演を行った。平成29年度1ー3月には同様の実験を日本語母語話者を対象に実施した。実験補助者を2名雇用し、30名規模の実験を行いデータを取得した。また日本語産出文に関しては、データの書き起こし、産出文の分類、スピーチオンセットの計測を行い、タロコ語に関してはスピーチオンセットの計測を行った。1月には宮城女子学院大学でタロコ語実験を含む内容について招待講演を行った。
2: おおむね順調に進展している
絵描写課題を用いた視線計測実験の作成を終え、タロコ語母語話者を対象とした実験では当初目標としていたパイロット実験ではなく、30名を対象とした本実験を実施することができた。またデータの分析結果をハワイ大学ならびに宮城女子学院大学で発表することができた。30名の日本人母語話者を対象とした実験も実施し、分析も進めることができたので、概ね順調に進展している。
今後は日本語者を対象とした産出実験データの分析を終わらせ、タロコ語と日本語における言語間比較を行う。また平成30年度は理解の側面に焦点をあて、運動情報が産出と理解のメカニズムに与える影響について比較していくことにする。
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日本認知科学会第34回大会発表論文集
巻: - ページ: 520-524
日本語言語学会第154回大会予稿集
巻: - ページ: 22-27