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言語コミュニケーションにおいて、高齢者にとって本当に心地よい距離のあり方がどのようであるかを推察する手がかりを提供するために、本若手（A)課題は、日本語において対人的機能を持つと考えられる文末モダリティに焦点を当て、高齢者との対人関係構築過程の神経基盤を明らかにする実験語用論研究を行った。高齢者と若年者それぞれ40名を対象とし、文末表現を含む疑似会話に参加してもらっている間の脳波を測定し、敬語「ください」と終助詞「ね」の組み合わせ方次第で印象がどのように異なるかを、世代と性別に応じて比較検討した。また、個人の認知スタイル（他者の心的状態を推察しようとするメンタライジングの態度）に応じた個人差にも注目した。その結果、若年者に比べて高齢者のほうが、また女性に比べて男性のほうが上記の両形式に対する神経反応が大きいこと、また特に高齢男性において、メンタライジングの能力が低いほど、非典型的な神経活動をしていることが示された。文末表現に対する半無意識の反応が世代や性によって異なるという具体的な知見は、円滑な異世代コミュニケーションを実現する方略を考える上で有用であるといえる。
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