今年度は、①著作権法におけるパロディの取扱いについて、本調査研究の進め方(フレームワーク)を検討すること、および、②従来の我が国法(及び我が国に紹介されている外国法)の議論等を改めて調査・検討しなおすことを行った。 ①については、本調査研究が実態調査を含むものであることに鑑み、先行してパロディの法律上の取扱いに関する枠組みについて、いくつかのパターンを用意したうえで、実態調査に臨むべきとの考えから、実務的・学問的な議論を把握することを優先した。 ②については、各種文献調査を中心に、我が国法におけるパロディの取扱い等を調査検討し、現時点での法的枠組みについて、把握した。 なお今年度の検討においては、いったんはペンディングとなったパロディに係る著作権法上の取扱いを巡る議論について、文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会下のワーキングチーム報告書「新たな時代のニーズに的確に対応した権利制限規定の在り方等に関する報告書」において、再び言及されている点も注目される。いわゆる柔軟性のある権利制限規定をめぐる議論等、このような立法的な動きについても、特に権利制限規定のあり方に関するバリエーション等を含めて、フォローを行った。 なおその成果については、國立臺北科技大學で開催された、2017年台日中智慧財産法學研討會における口頭発表"Parody Defense in Copyright Law"にて、一部を公表した。
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