本研究の目的は,2000年前後に行われた新規株式公開(IPO: initial public offerings)市場に対する一連の上場基準緩和が,IPO企業のイノベーション活動に与える影響を明らかにすることである。新規株式公開をすることにより、企業の構造が大きく変化することが知られているものの、その具体的影響については分かっていない。 それに鑑み、本年度は、特許データの整備を進めた。データの取得は終わったものの、研究費が申請額から大幅に減額されたため、その後の整備作業に遅れがある。別途財務データを取得を行った。 また学術研究者に対して、研究概要の進行方向についてコメントを頂いた。特にイノベーションの指標としてもちいる特許情報については多様なデータプロバイダから様々な形式のデータが提供されているため、選定作業を行うにあたって、経営学や産業組織論などで特許情報を用いたことがある先生方からアドバイスをいただいた。現在、はテキスト形式でデータを取得したものの、企業コードに一貫性が無いなどの問題があるため、それに対して手入力で修正を加えているところである。 証券会社関係者やアナリストなどの実務家の方々と意見交換をおこなった。具体的に述べると、大手証券会社で、以前に引き受け担当を行っていた専門家、また独立系のアナリストの方に、今年度中、数回にわたってヒアリングを行った。それらの結果から、分析の方向性、とくに拡張可能性について探ることができた。
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