本年度は、外国籍者を対象とした調査を実施した。外国籍者を対象とした全国調査を実施するにあたり、調査対象者のサンプリングが非常に大きな問題となる。外国籍者が総人口に占める割合は2%程度にとどまるため、通常の手続きで実施した場合、膨大な費用と時間がかかる。そのため、サンプリングの第一歩として、調査対象地点における住民基本台帳の形式の確認を行った。事前に外国籍人口の90%を占める570の市区町村から、外国籍人口に応じた確率比例抽出により、60の市区町村を抽出した。次に、これらの自治体に住民基本台帳の形式に関する問い合わせを行った。調査対象地以外も含む計120の自治体に問い合わせを行ったところ、外国籍者と日本国籍者を分けて抽出可能な自治体は10、分けられないが区別可能な自治体は106、区別できない自治体は4であった。 住民基本台帳の形式に合わせ、二つの方法でサンプリングを実施した。外国籍者と日本国籍者を分けて抽出が可能な自治体については、通常の抽出方法により、対象者を無作為抽出した。分けての抽出ができない自治体については、居住する外国籍者の総人口が400~700に達するまで町丁目を抽出した。そのうえで乱数にもとづきスタート番号を決め、その番号以降に最初に出てきた外国籍者を対象者として選び、その後3人おきに対象者を抽出した。ただし、同一世帯に含まれると考えられる人が選ばれた場合、次の人を対象者とした。このようにして抽出した5000人に対し、郵送調査によって調査を実施した。調査票はふりがな付きの日本語のほか、英語、中国語、ポルトガル語で作成した。調査は2018年1月から2月にかけて実施し、1121人から有効回答を得た。転居により不着等のケースを除いた有効回収率は23.8%である。回収率は高いとはいえないが、外国籍者を対象とした他の調査と比べると同程度であった。
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