研究課題/領域番号 |
16H05965
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
吉川 純 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端材料解析研究拠点, 主任研究員 (20435754)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 電子エネルギー損失分光 / 電子顕微鏡 / トポロジカル絶縁体 |
研究実績の概要 |
トポロジカル絶縁体は、表面が金属状態で、ヘリカルにスピン偏極した表面電子を持つ新しい概念の物質である。本研究では、電子線とトポロジカル絶縁体表面電子の相互作用を運動量移送の観点から調べることで、その表面電子物性をナノメートルスケールで解析可能な手法を確立して、応用することを目指している。 H30年度は、運動量移送依存した電子エネルギー損失分光(EELS)を、電子分光器の入口に装備したスリットを用いて運動量移送の水平成分の範囲を指定することで実施し、エネルギーと運動量移送の分散マップを取得した。これにより、高純度バルク試料に関しては、Γ点からL点方向への分散マップにおいて、最も大きなEELS強度が16.8eV(波数ゼロ)付近に現れた。このEELS強度の分散関係はエネルギーが波数の2乗に比例する関係式で良くフィッティングできることから、3次元的に広がるプラズモンであると判断した。また6eV付近(波数ゼロ)のEELS強度の分散関係も取得できた。より低エネルギー領域は、高いエネルギー分解能を必要とする。新規モノクロメータの導入により、エネルギー分解能が飛躍的に向上することができ、低エネルギー領域計測の準備が整えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
高純度バルク試料を用いた分散関係の計測・解析にようやく至ることができた。また、エネルギー分解能を飛躍的に向上できたことから、ようやく低エネルギー領域(特に2eV以下領域)を計測するための準備が整った。以上から、遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
超高エネルギー分解能を以って低エネルギー域のEELSを取得する。並行して、表面電子由来のEELS信号のみを効果的に計測する手法について引き続き検討し、実施する。
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