本研究では、白金(Pt)を1nm以下のサブナノクラスター(Sub-Nano Cluster: SNC)に超微細化し、および、反応中SNCの粒成長を抑制することで新しいナノ構造化触媒の設計実用化を行った。 具体的には、Au-MTPのサブナノ・ポケットにPt-SNCを正確に入れる試料作製法およびAu(原子番号 79)とPt(78)を区別して三次元サブナノ構造を定量評価するための「三次元位置・組成ゆらぎ解析法」を確立する。そして、微細化の限界を打破し白金使用量の2桁削減を達成することを目指した。H30年度は、これまでに超微細化に成功したPt-SNC粒成長機構解明し、表面積を持続可能なSNCおよび担体形状・反応温度・ガス分圧を探索するために、一酸化炭素・水素・酸素などのガス環境中で電子顕微鏡測定を行った。Pt-SNCの応用が期待される固体高分子型燃料電池反応を模擬した燃料および酸素極ガス中では、原子レベルの特徴的な表面構造が現れることを世界で初めて明らかにした。これは、格子ひずみ(位置ゆらぎ)がサブナノクラスターの触媒活性に強く影響することを示しており、ひずみ場におけるクラスターの機能発現原理の深い理解に寄与するものと期待される。 また、本研究で開発した原子レベルのその場加熱手法は、ナノ構造化触媒材料だけでなく金属・半導体の様々な材料欠陥の分析手法としての応用が進みつつあり、今後の他分野への波及効果が大いに期待できる。 この結果について、Nanotechnology誌に発表するとともに、国際顕微鏡学会を含む3件の国際会議において招待講演を行った。
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