研究課題/領域番号 |
16H05967
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
瓜田 幸幾 長崎大学, 工学研究科, 助教 (40567666)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ナノ材料解析・評価 / 電極材料 / その場観察 |
研究実績の概要 |
本研究は,充放電状態にあるリチウムイオン二次電池 (LIB) の電極活物質の構造変化及び電気二重層キャパシタ (EDLC) 用の多孔性カーボン電極上における二重層形成過程を高分解能走査透過型電子顕微鏡 (HR-STEM) によって明確化し,得られた情報を元に蓄電デバイスの高機能発現に向けた電極材料を設計することを目的としている。 多孔性カーボン電極を用いたEDLCの容量は電極細孔構造に強く依存することから,これまでに高精度ガス吸着測定及び電子顕微鏡観察によって細孔サイズ・形状を決定し,二重層容量と細孔構造の関係を明らかにしてきた。さらに,電極表面の酸素含有官能基も二重層容量に寄与すると考えられることから,今年度は吸着等温線から得られた吸着熱による表面官能基の評価方法を確立した。 電気化学測定を電子顕微鏡内で行い構造変化を追跡するin-situ観察では,LIB電極活物質であるSnO2を用いて観察条件の最適化を目指した。特に,試料を固定した電極チップの観察ホルダーへの取り付け時における隔膜 (厚さ:50 nm程度) の破損,電解液導入によるエネルギー損失分光スペクトル (EELS) のS/B比の低下等の問題に対して,電気化学測定の結果を元に既存のホルダーを用いた測定システムの改良を行うことでこれらの諸問題を解決しsemi in-situ法により測定が可能となった。今後,semi in-situ法により電子顕微鏡内での電気化学測定及び電極活物質状態の可視化を行い,局所的な電極反応メカニズムの解明を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in-situ観察法をsemi in-situ観察法へと変更しても,充放電状態は保持されており既存の観察システムと比較して格段に試料の取り付け,電極構造観察が最適化できたことから順調に進展しているといえる。また,EDLC電極材料の酸素含有表面官能基割合・細孔形状・サイズ分布の構造評価及びex-situによるLIB用SnO2活物質の構造評価も完了しており,おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
電極活物質を固定化したin-situ観察ホルダーを用いて,独自に考案したsemi in-situ法により電子顕微鏡内での電気化学測定及び電極活物質状態の可視化を行う。EDLC用電極については,新たに電子顕微鏡像コントラスト及びEELSスペクトルの得やすい元素を含む電極材料を用い,構造変化の追跡から電極構造と充放電特性との相関性を明らかにする。
|