研究課題/領域番号 |
16H05971
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 禎生 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 客員研究員 (70731214)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 一分子計測 / マイクロ・ナノ工学 |
研究実績の概要 |
未来の希少一分子迅速検出・解析方には、高感度一分子検出と、大量・高速スクリーニングの両立が欠かせません。本研究の目的は、並列流路内を電気的に輸送される無限個の微小液滴アレイを用い、数万液滴毎秒以上のスループットで一分子活性を連続計測し、目標分子を検出する高速・高感度一分子スクリーニングシステムを実現する事です。そのために、高速並列デジタルナノ流体技術開発を目指しています。 その中で当該年度においては、まずデジタルマイクロ流体(DMF: Digital Microfluidics)集積技術を開発しました。高圧アンプやファンクションジェネレーターを含む電気工作、電極設計やパリレン蒸着条件決めなどのマイクロファブリケーション、流体デバイス作製や界面活性剤条件選定を通し、再現性のよい液滴輸送システムを開発しました。さらに代表研究者が所属する野地研究室のゆうするデジタルカウンティング技術を融合する事により、デジタルマイクロ流体デバイス中での高感度酵素一分子活性計測を実現しました。これにより、ラチェット構造を用いた系で実証される一分子計測系が確立しています。 また一方で、さらにDMF融合型デジタルカウンティングで用いるデバイスでITO電極間に交流電場をかけることにより、効果的に誘電泳動力を発生させ、マイクロチャンバー内に目的微粒子を濃縮させる技術を開発しました。従来より少なくとも一桁以上の濃縮が期待でき、従来デジタルカウンティング法のさらなる高感度化につながっており、(国内開催の)国際会議で発表しています。DMF送液システムと融合させる事により、自動バイオアッセー、溶液交換、高感度検出、回収と一気通貫のプラットホーム実現につながると考えられれます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度においては、まずデジタルマイクロ流体(DMF: Digital Microfluidics)集積技術を開発しました。高圧アンプやファンクションジェネレーターを含む電気工作、電極設計やパリレン蒸着条件決めなどのマイクロファブリケーション、流体デバイス作製や界面活性剤条件選定を通し、再現性のよい液滴輸送システムを開発しました。さらに代表研究者が所属する野地研究室の有するデジタルカウンティング技術を融合する事により、デジタルマイクロ流体デバイス中での高感度酵素一分子活性計測を実現しました。これにより、ラチェット構造を用いた系で実証される一分子計測系が確立しています。 また一方で、さらにDMF融合型デジタルカウンティングで用いるデバイスでITO電極間に交流電場をかけることにより、効果的に誘電泳動力を発生させ、マイクロチャンバー内に目的微粒子を濃縮させる技術を開発しました。従来より少なくとも一桁以上の濃縮が期待でき、従来デジタルカウンティング法のさらなる高感度化につながっています。DMF送液システムと融合させる事により、自動バイオアッセー、溶液交換、高感度検出、回収と一気通貫のプラットホーム実現につながると考えられれます。
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今後の研究の推進方策 |
従来予定していたラチェット構造を用いたナノデジタル流体計測解析デバイス開発に加え、デジタルカウンティング技術への誘電泳動技術開発を推進していきます。 前者においては、まずラチェット機構による液滴輸送の整流システムを実証します。技術補佐員1名を継続雇用し、所属する野地博行研究室の設備を使いつつ、研究を進めます。デバイス作製、液滴操作機構は確立し、一方の一分子バイオアッセーにも習熟し、これらを組み合わせて、ラチェット機構中の微小液滴によりデジタルカウンティング技術の実証を進めます。 後者に置いては、従来デジタルカウンティング法を高速・高感度化でき、高速・高感度一分子スクリーニングシステムの新たな候補になりうると考えています。そのため、開発してきたデジタルマイクロフルイディクス技術と融合することにより、自動バイオアッセー、溶液交換、高感度検出、回収と一気通貫のプラットホームとなるように開発を進めていきます。
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