本研究では、電気二重層トランジスタ構造を用いた電気化学エッチング法の適用により、原子層物質の単層レベルの極薄膜化を実現することで、極薄膜状態で初めて発現する新奇物性開拓を狙うことを目的として研究を行った。特に、セレン化鉄はバルクで8 Kの超伝導転移を示す層状の鉄系超伝導物質である。極薄膜化することにより、超伝導転移温度が約8倍に上昇することが知られている。本研究では、電気化学エッチング法を本物質に適用し、高温超伝導状態における臨界磁場および臨界電流の膜厚依存を調べることにより、極薄膜における超伝導の次元性が高温超伝導安定化に重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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