研究課題
走査トンネル顕微鏡(STM)は鋭い探針を観察対象にトンネル領域まで近づけて走査することで、原子分解能像を得るのみならず、原子を一つ一つ動かす原子操作や原子スイッチが可能な顕微鏡である。研究代表者は、Si(111)-7×7半導体表面上に原子操作によって4つのSi原子が傾いて結合したSi4原子スイッチを作製し、世界で初めてSTMのトンネル電流と原子間力顕微鏡(AFM)の探針相互作用力の両方で同時に原子スイッチさせることに成功した[論文Nano Letters]。本研究計画ではその方向性を正当進化させ、隣接するSi4原子間の相互作用を解明し、さらにグラフェンやトポロジカル系上での原子スイッチの機構の解明を目指した。装置の立ち上げに関して、当初の計画通りNANONIS社製のSTMおよびAFMコントローラーをそれぞれ導入し、信号を確認した。さらに、UNISOKU社製のトップロード型の低温走査トンネル顕微鏡と実験室の整備を時間をかけて入念に進め、必要な真空備品の購入を完了し、配備を進めた。研究成果に関して、第一の目的であった相互作用する双子Si4-Si4原子スイッチについては、国際招待講演(上海)、国際学会(ヘルシンキ)、国内招待講演2回(日本表面真空学会、OIST)の発表があった。また、本研究計画の準備につながる研究が予想以上に広がり、トポロジカル絶縁体の作成を目指す過程で、Bi(110)薄膜の原子構造と電子状態の偶奇性[論文PRB、国際会議ACSIN-14、発表日本物理学会、顕微ナノ学会]、Bi(110)面の電子状態[国際会議 ACSIN-14]、低温蒸着によるトポロジカル表面と予想されているBi(111)面の形成[国際学会発表]があった。関連して、Ag薄膜の界面構造の解明[論文JJAP、解説表面と真空、発表物理学会]、Ag薄膜の鏡像準位状態[発表物理学会、表面真空学会]があった。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件)
表面と真空
巻: 61 ページ: 657-662
10.1380/vss.61.657
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 57 ページ: 075701-1-8
10.7567/JJAP.57.075701
Physical Review B
巻: 97 ページ: 195418-1-8
10.1103/PhysRevB.97.195418