研究実績の概要 |
28年度では、最適共添加元素探索と特性改善メカニズムの解明を行うと共に、1インチCZ法による、共添加元素およびCeを含めた最適仕込み組成を決定した。 始めに、Mg,Caに加え、2価のアルカリ土類金属(Sr,Ba)、1価のアルカリ金属(Li,K,Na)の共添加と、比較検討として4価の元素(Zr,Hf等)を共添加した結晶をm-PD法により育成する計画に対し、それぞれ100-3000 mol.ppm添加したCe:Gd3Ga3Al2O12組成での結晶成長を行い、Li,CaにおいてMgと同等の蛍光寿命短寿命化現象を確認した。さらに組成をCe:Gd3Ga3Al2O12結晶に絞った上で、Mg共添加およびポストアニーリングがシンチレーション特性に及ぼす影響を調査し、Mg共添加効果の解明につながる情報を得た。 さらに1インチサイズでのLi、Mg共添加Ce:Gd3Ga3Al2O12組成に関し各共添加仕込み濃度における結晶作製を行い、シンチレータ特性と各種元素の共添加量との相関関係を検討した。Mg添加により時間分解能は共添加無しに対し、1/2-1/3に高速化され、Mg2000ppmの組成で165psの時間分解能を示した。一方、発光量はMg添加量の増加とともに減少し、Mg2000ppmの組成で共添加無しの71.2%に低下した。その結果、Mg2000ppmの組成において、発光量40,000photon/MeV以上を満足しつつ、蛍光寿命19.2ns、時間分解能166psを達成することを確認した。Li共添加では、蛍光寿命の短寿命化が確認され、同時に発光量も低下するものの低下量はMgに比べ小さい。発光量、蛍光寿命の観点から、Li共添加の方が有効である可能性もあるため、今後時間分解能測定を進めることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画としては、28年度に最適共添加元素探索と特性改善メカニズムの解明を行うと共に、1インチCZ法による、共添加元素およびCeを含めた最適仕込み組成を決定する計画であった。 1.μ-PD法による最適添加元素探索と特性改善メカニズムの解明(~29年3月) Mg,Caに加え、2価のアルカリ土類金属(Sr,Ba)、1価のアルカリ金属(Li,K,Na)の共添加と、比較検討として4価の元素(Zr,Hf等)を共添加した結晶をm-PD法により育成する計画に対し、それぞれ100-3000 mol.ppm添加したCe:Gd3Ga3Al2O12組成での結晶成長を行い、Li,CaにおいてMgと同等の蛍光寿命短寿命化現象を確認した。さらに組成をCe:Gd3Ga3Al2O12結晶に絞った上で、Mg共添加およびポストアニーリングがシンチレーション特性に及ぼす影響を調査し、Mg共添加効果の解明につながる情報を得た。 2.1インチCz法作製Ce:GAGGにおいて短寿命化、発光強度増加に最適な仕込み組成の決定(~29年6月) 1インチサイズでのLi、Mg共添加Ce:Gd3Ga3Al2O12組成に関し各共添加仕込み濃度における結晶作製を行い、シンチレータ特性と各種元素の共添加量との相関関係を検討した。Mg,Liについてそれぞれ,500~5000ppm添加した単結晶をCz法により作成し、共添加量と発光量、蛍光寿命、時間分解能を評価した。Mg2000ppmの組成において、発光量40,000photon/MeV以上を満足しつつ、蛍光寿命19.2ns、時間分解能166psを達成することを確認した。Li共添加では、蛍光寿命の短寿命化が確認され、同時に発光量も低下するものの低下量はMgに比べ小さい。発光量、蛍光寿命の観点から、Li共添加の方が有効である可能性もあり、今後時間分解能測定を進める。研究は計画通り順調に進展している。
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