研究実績の概要 |
本研究では、プラズマ誘起液相反応の更なる飛躍によりプラズマ応用分野の継続的発展を目的とし、制御されたミクロ液相の適用によるプラズマ誘起液相反応の更なる理解や、新たな応用開拓の実現に取り組んできた。 該当年度には、前年度までに構築を行った高い再現性を伴うミクロ液相生成システムを用いたプラズマ援用プリンティング技術の開発を中心に取り組んだ。 フレキシブル基板上へのプラズマ援用プリンティングにより、プラズマ未使用時に比べて解像度が高い描画を、単一プロセスで短時間の間に行える可能性を銀配線とともに報告した。更に、導電性ポリマーであるpoly (3,4ethylenedioxythiophene)/Poly(styrene-sulfonate) (PEDOT/PSS)の配線を作製し、プラズマ処理によって電導度が改善する領域があることを見出した。また、EDOTをインクとして用いたプリンティングにも取り組み、その場プラズマ重合によるPEDOT描画を実現した。その場重合プロセスを実現することにより、プリンティングに用いることのできるインクに更なる多様性を付与することができる。EDOTからのPEDOT描画プロセスにおいても、プラズマ処理時間には最適値があることを示すとともに、電気伝導性の変化は、ラマン分光や赤外分光とともにPEDOT構造に起因することを提示した。センサなどに応用が進められている二次元物質であるMoS2の低温合成を示唆する結果も得たが、大気開放下でのプロセスであったことから、酸化物の存在も確認されている。不活性ガスを用いるなどの更なるプロセス制御を行うことで、本プリンティング技術の更なる展開が期待できる。 以上の様に、新たなプリンティング技術としてのプラズマ援用インクジェットプリンティングの開発と実証をもたらした。今後、更なる制御性の付与を通じ、優れたデバイスの開発が期待できる。
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