研究課題
昨年度に製作した真空チェンバシステムと誘導回折放射の共振器を、夏期の加速器の運転停止期間を利用してKEKのコンパクトERL試験加速器に装置を設置した。まず、共振器を構成する2枚の穴空き鏡の相対的な関係について、3次元測定器を用いた精密な位置調整を行った。次に、加速器ビームラインに、共振器を設置した真空チェンバを設置した。ビームを共振器に通過させる必要があるため共振器とビーム軸との位置関係が重要であるが、共振器マウントに設計しておいた調整機構によって精密なアライメント調整を行った。ビーム運転時には遠隔での操作が必要である。真空チェンバ内で共振器を駆動する装置、および、検出系の光学系を切り替えるシステムの操作システムの整備を行った。テラヘルツ帯域の測定では、窓や空気による吸収を抑える必要がある。サファイア窓への交換と乾燥空気置換により検出系の改良を行った。本年度のビーム運転において、低エミッタンス化および短バンチ化について、ビーム性能の追求を進めた。とくにバンチ圧縮調整については昨年度よりも短い結果が得られ、調整が進んだ。電子ビームサイズを収束する調整を行い、共振器の3mmの穴を通過させるのに十分なサイズである、0.25mmのビームが得られた。加速器の調整用の電磁石を追加し、これらの組み合わせで精密に軌道調整が出来るよう整備した。ビームロスモニタの信号を指標として軌道を調整し、共振器にビームを損失無く通過させることに成功した。共振器長を精密にスキャンしながら、発生するテラヘルツ帯域の放射強度を測定した。共振器長がバンチ繰り返しに一致する条件で鋭い共鳴が観測され、本研究で原理実証の目標とした誘導放出の現象を確認した。測定帯域の切り替え、共振器に邪魔板を挿入、等の条件を変えた測定も行い、現象の理解を進めた。また、共鳴ピークの安定性についてのデータも取得した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nucl. Instrum. Meth. A
巻: 877 ページ: 197-219
10.1016/j.nima.2017.08.051
巻: 875 ページ: 156-164
10.1016/j.nima.2017.09.027