研究課題/領域番号 |
16H05994
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大川 新之介 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (60646909)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 導来圏 / 代数多様体のGrothendieck環 / 非可換代数幾何学 |
研究実績の概要 |
今年度は当初予想していなかった方向に研究が進展したのでそれを説明する。 非特異射影代数多様体XとYの連接層の導来圏が同値なとき、それらはD同値であるという。D同値 なXとYのどのような不変量が一致するのか、という基本的な問題があるが、この問題に示唆を与える興味深い例を伊藤・三浦・植田諸氏との共同研究においていくつか発見した。それらにもとづいて、「D同値ならばL同値か?」という問を見出した。ただし、XとYがL同値であるとは、代数多様体のGrothendieck環をaffine直線のクラスで局所化した環の中でそれらの定めるクラスが一致するという意味である。この問がもし正しければ、自動的にいくつかの不変量の一致が従うため、興味深い問である(ごく最近の自身の研究によると問を少し修正する必要がありそうだが、大勢には影響しない)。まだ具体例がいくつか見つかっているだけの段階であり、興味深いものの今後どうなるか予断を許さない状況である。 これまでの研究の続き(特に代数多様体の非可換変形関連)についても少しずつ進展しており、理解が深まってきている。例えば、非可換射影平面のモジュライに関するGIT安定性を調べた論文を再検討した結果、非可換代数幾何学の意味での非可換射影平面は全て半安定であるということが判明した。また、モジュライ構成における例外対象列の選択が"marking"である、という理解もより明確になってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに見つかったトピックに取り組む時間があったため、他のトピックがやや遅れてしまったが、全体として見れば代数多様体の導来圏の理解に一定の貢献ができたと思う。
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今後の研究の推進方策 |
抱えている研究テーマが多くなってしまっているので、形にすることを意識して取り組みたい。
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