研究課題
初期宇宙で実現するような低金属量環境下での大質量星形成過程について、理論研究をこれまでに引き続いて計画どおりに遂行した。これは宇宙最初のいわゆる初代星の形成と、銀河系で観測される大質量星の形成との中間にあたり、中間的な低金属の環境を考えることで両者を包括的に理解することが可能になる。まず、前年度から継続して行っていた低金属量での大質量星形成の2次元輻射流体計算の研究は宇宙論大規模構造形成シミュレーションで得られた星形成ガス雲を初期条件として用いて系統的に計算を行い、結果をまとめた論文が投稿中になっている(Fukushima et al.2020a)。金属量が太陽の100分の1程度の環境だとフィードバック過程に関してはむしろ金属量ゼロの初代星の場合と近く、これは近傍の低金属量環境で定性的に銀河系とは異なる形成モードで星形成が進んでいることを示唆する。さらにより現実的な円盤分裂の効果を取り入れるため、分裂過程とその後の分裂片の進化における物理素過程の研究を行った上で(Chon & Hosokawa 2019)、いわゆるAMR法を用いた流体計算コードにray-tracing法を実装して原始星からの紫外光によるフィードバックと円盤分裂両方を取り入れた先進的な最初の計算を行った。まず金属量ゼロの初代星形成の場合の研究を進め、論文としてまとめて出版した(Sugimura et al. 2020)。同じコードをさらに拡張して重元素の効果も実装して、もうひとまわりスケールの大きい星団形成の研究を行った(Fukushima et al. 2020b)。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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