オーストラリアの電波望遠鏡ASKAP (Australian SKA Pathfinder)とMWA (Murchison Widefield Array)を用いて、宇宙磁場と宇宙再電離期中性水素21cm線の研究を行った。 宇宙磁場に関してはファラデートモグラフィの手法を適用するための偏波解析ソフトウェアの開発に取り組んだ。ファラデートモグラフィについては、これまでに開発したRM CLEANソフトウェアの性能評価を行い、学術論文として出版した。また、ASKAP望遠鏡の偏波サーベイ計画POSSUMのワーキンググループに大学院生とともに参加し、2017年から始まるearly scienceに関する議論を継続的に行っている。 21cm線解析について、電波望遠鏡プロジェクトMWAにメンバーとして参加し、報告者は大学院生2名とともにMWAの宇宙再電離研究の本拠地であるメルボルン大学に3ヶ月滞在して現地の解析チームと共同研究を行った。特にMWAのデータとすばるHSCのサーベイによるLyman-alpha emitterとの相互相関によって、21cm線シグナルを検出するための準備研究に取り組んだ。観測のfeasibilityを検討するために、名古屋大学の共同研究者による大規模シミュレーションデータを用い、MWAやすばるHSCの観測誤差を考慮して期待されるS/Nの計算を行った。21cm線研究の結果は2編の学術論文として出版され、また現在大学院生がMWAチームやすばるHSCチームのメンバーとの共著で執筆している。さらに、MWAにすばるHSC戦略枠のサーベイ領域を深く観測する提案を行い、受理された。
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