研究課題/領域番号 |
16H05999
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高橋 慶太郎 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (80547547)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 電波天文学 / 宇宙磁場 / 宇宙再電離 |
研究実績の概要 |
宇宙磁場の3次元構造や銀河間空間の磁場を探るためのファラデートモグラフィ法の開発・研究を行った。まずファラデートモグラフィの中でも基本的な手法であるQU-fit法の性能を調べるべく、視線上に2つの電波源がある場合を想定し、ファラデー深度や幅をパラメータとして様々なパラメータセットに対して観測データをシミュレーションし、QU-fit法を適用した。そしてどのような場合にQU-fit法が正しい答えを出すのか、どのような場合にうまくいかないのかを調べた。さらにQU-fit法よりも先進的なスパースモデリングを用いたファラデートモグラフィを開発し、基礎的な性能を調べた。また、次世代電波望遠鏡SKAの試験機であるMWAやASKAPのメンバーとして宇宙磁場に関する国際的な共同研究の議論を進めた。
宇宙再電離については中性水素21cm線と高赤方偏移銀河の相互相関を取ることによって21cm線の検出可能性を高めるための準備研究を行った。具体的にはMWAやSKAなどの電波望遠鏡と、すばるHSC・PFSによるライマンα線銀河サーベイを想定し、熱雑音やショットノイズ、前景放射などの効果を入れて観測シミュレーションを行い、検出可能性を探った。その結果、MWAとすばるHSCの組み合わせでも大スケールでは検出できる可能性があることがわかった。また、SKA時代にはPFSによる赤方偏移の情報を加えることで、宇宙再電離期の電離バブルの典型的な大きさを探ることができることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
オーストラリアの電波望遠鏡プロジェクトMWAに日本代表として参加し、宇宙磁場や宇宙再電離などのサイエンスの推進とソフトウェア開発などをオーストラリアチームと共同で行っている。MWAプロジェクトへの参加費として本研究課題の経費を使用している。オーストラリアのメルボルン大学やカーティン大学との間で大学院生や研究者が互いに訪問して交流を行い、共同研究を推進し論文の執筆に至っている。本研究課題の内容は国際MWAプロジェクトの中でも高く評価され、招待講演やプロジェクトのタスクの依頼が多数ある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、MWAのメンバーとして宇宙磁場や宇宙再電離研究の研究を進める。特に、中心であるメルボルン大学やカーティン大学に大学院生を派遣し、観測データを取得するとともにファラデートモグラフィや相互相関解析のソフトウェアの開発を行う。そして観測データにソフトウェアを適用することによってフィードバックを得る。また、日本でASKAP磁場グループやMWA再電離グループの国際研究会を開催し情報交換と共同研究を促進する。
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