研究実績の概要 |
ニュートリノのマヨラナ性 (マヨラナニュートリノ) を証明することで, 素粒子物理学に残された 「軽いニュートリノ質量」と「物質優勢宇宙」という大きな問題を解決に導くことができる. マヨラナ ニュートリノを示すには, 特定原子核 (例えば 136Xe や 150Nd) のニュートリノ放出を伴わない2重 β崩壊 (0νββ 崩壊) 事象の検出すれば良いことが知られている. 本研究は, 独自アイディアによる150Ndの高感度0ν2β 探索を提案し, その原理を検証することを目的とする. 本年度は, 東北大学金属材料研究の協力のともに小型NdF3結晶を作成し, 超伝導検出器のために結晶を精密研磨することに成功した. また, 3Heソープション冷凍機を入手し, その立ち上げを行なった. 無負荷の状態で, 約半日で0.3Kまで冷却することを確認した. 0.3Kの維持時間は100時間以上であった. さらに, 超伝導検出器であるMicrowave Kinetic Inductance Detectors(MKID)のサンプル品を理化学研究所から入手して, 3Heソープション冷凍機でMKIDの共振を観測することに成功した. また, MKIDの読み出しのためにKEK CMBグループから専用電子回路と各種ソフトウェアを入手して準備を進めている. 現在は. NdF3結晶に超伝導検出器MKIDを取り付けるための条件出しを進めている. また, 平行して検出器の性能評価を自動でする行うためにハードとソフトの両側から準備を進めている. これが上手くいくと, NdF3に超伝導検出器を取り付けてテストして, 超伝導検出器のデザインを最適化するという一連のプロセルを高速で行うことができるようになる予定である.
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