研究実績の概要 |
ニュートリノのマヨラナ性 (マヨラナニュートリノ) を証明することで, 素粒子物理学に残された 「軽いニュートリノ質量」と「物質優勢宇宙」という大きな問題を解決に導くことができる. マヨラナニュートリノを示すには, 特定原子核 (例えば 136Xe や 150Nd) のニュートリノ放出を伴わない2重 β崩壊 (0νββ 崩壊) 事象の検出すれば良いことが知られている. 本研究は, 独自アイディアによる150Ndの高感度0ν2β 探索を提案し, その原理を検証することを目的とする. 本年度は, 鍵となる超伝導検出器Lumped Element Kinetic Inductance Detectors(LEKID)開発のテスト環境構築を行った. 東北大学西澤センターで自分たちで素子を作成する環境を整えた. また, KEK CMBグループから専用電子回路と各種ソフトウェアを入手して, 作成した素子を評価するテスト環境を構築した. それらを用いて, 241Amのγ線を照射して, LEKIDのγ線に対するフォノン応答特性を評価した. これらの測定を通じて, 現状は理論的に予想される雑音より桁で大きい雑音を持っていることがわかった. これらはテスト環境の外部輻射や磁場などによる影響が原因だということもわかった. さらに, NdF3にLEKIDを実装することに成功した. しかし, KIDの共振を測定することはできなかった. これはNdF3のなんらかの物性的な性質が問題になっていると考えれる. 一方で, NdGaO3上でのKID検出器は問題なく動くことも確認した. 今後は, NdF3とNdGaO3の物性的な違いを確認する予定である.
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