研究実績の概要 |
本研究では、岐阜県飛騨市にある神岡鉱山の地下1,000メートルに設置した大型液体キセノンシンチレーション検出器XMASS-Iを用いて、Xe-136のニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊だけでなくXe-124のニュートリノを伴わない二重電子捕獲等の探索も同時に高感度で行うことで、ニュートリノ質量および右巻きカレントの寄与を識別してニュートリノのマヨラナ粒子性の真髄に迫ろうとしている。これまでに、800日分の観測データを用いてXe-124のニュートリノを伴う二重電子捕獲の探索を世界最高感度で行ってきたが、Xe-124が環境熱中性子を捕獲した結果生成されるI-125がこの解析の主要なバックグラウンドになることが分かった。
そこで平成30年度は、熱中性子を遮蔽するためのホウ素入りシートを検出器周辺に設置するなどの対策を行ってI-125によるバックグラウンドの低減を図るとともに、安定したデータ収集を継続してきた。平成31年2月にXMASS-I検出器を用いた5年間にわたるデータ収集が完了したため、XMASS実験の全データを用いた最終解析を開始した。さらに、ニュートリノを伴わないモードの探索のため、数MeV領域での検出器応答やバックグラウンドのスタディを継続して行ってきた。また、国内外の当該分野の研究者と議論を行って、次世代の大型液体キセノン検出器を用いたさらなる高感度化への道筋を議論してきた。
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