3次元系における粒子はボーズ統計またはフェルミ統計に従うが、2次元系ではこれとは異なるエニオン統計性を持つ準粒子が存在しうる。エニオン統計性を利用することで、トポロジカル量子計算などの量子情報技術が実現すると考えられている。分数電荷準粒子はエニオン統計性を持つとされる重要な候補である。本課題は、分数電荷準粒子を観測・制御するための基礎技術の確立を目指した点に、学術的意義がある。本課題で得られたスピン電荷分離現象の観測、分数電荷準粒子のアンドレーエフ反射の観測などの結果は、当該分野の今後の進展に繋がる成果であり、将来の準粒子制御技術の基礎となる、社会的意義のある成果と考えている。
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