研究課題
氷晶核(氷形成能力を有するエアロゾル粒子)の存在は、極微量であっても、地球の気候や生態系に多大な影響を及ぼす。北極域の下層大気(数百メートル~数キロメートルの高度)では、年間を通して混相雲(過冷却の雲滴と氷晶とが混在する雲)が頻繁に発生している。混相雲内での氷形成過程には、氷晶核として機能するエアロゾル粒子の存在が必須である。しかしながら、北極域の大気中における氷晶核の数濃度については、その計測が技術的に非常に困難であることから、実測データがほとんど報告されてきてない。また、氷晶核の供給源についても、未だによくわかっていない。本研究では、申請者が新たに確立した「超低濃度状態でも氷晶核の計測が可能な実験系」であるCRAFT(Tobo, 2016, Sci. Rep.)を用いて、北極域の中でも特に混相雲の発生頻度が高い地域だといわれているスヴァールバル諸島に位置するニーオルスンにおいて、エアロゾル粒子の氷晶核としての役割に着目した調査研究を展開している。2018~2019年度は、ニーオルスンを計6回(2018年7~8月、2019年1月、2019年3月、2019年7~8月、2019年11月、2020年3月)訪問し、Zeppelin山観測所(海抜約474メートル地点)とGruvebadet観測所(Zeppelin山のふもとにある観測所)での集中観測を実施した。また、本研究で得られた北極域混相雲内でのエアロゾル粒子の氷晶核としての役割に関する科学的知見などをまとめた原著論文と総説論文の執筆し(Tobo et al., 2019, Nat. Geosci.; 當房, 2019, 大気化学研究)、国内外の学会や研究集会等での発表を行った。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Nature Geoscience
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