北極域の下層大気では、混相雲(過冷却水滴と氷晶が混在する雲)が年間を通して頻繁に発生しており、北極域の気象や気候、生態系などに大きな影響を及ぼしている。本研究では、北極域でも特に混相雲の発生頻度が高い地域であるスヴァールバル諸島にて、混相雲内での氷形成過程にかかわる氷晶核(氷形成能力を有するエアロゾル粒子)の観測を実施した。スヴァールバル諸島のZeppelin山観測所にて氷晶核の数濃度を計測したところ、夏季には冬季よりも1桁高い値を示すという結果が得られた。夏季における氷晶核濃度の増加の原因としては、スヴァールバル諸島内もしくは近辺で発生したダストが影響していた可能性が高いことを示した。
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