研究課題
金属構造に超短パルスレーザーを照射すると、テラヘルツ波パルスが発生する。発生するテラヘルツ波の広帯域性と、励起レーザー光強度に対する耐久性の向上が期待される。本研究で、金ナノロッドに超短パルスレーザーを照射した際に発生するテラヘルツ波強度が、照射レーザーの波長によらず、その強度の4-6乗に比例することを見出した。この大きい非線形性は、レーザーによる金属中電子の多光子イオン化とレーザー電場のポンデロモーティブ力による加速が、テラヘルツ波発生の主な機構であるために生じるなどと考えられていた。しかし非線形性に波長依存性がないという本研究の結果は、多光子イオン化が主要な機構でないことを示している。さらに、励起レーザー強度に対する発生テラヘルツ波強度依存性が、電界放出電流を表すファウラー・ノルドハイムの式で表されることがわかった。金属のナノ構造とレーザー光の共鳴によってレーザー強度は数十倍程度に強められ、容易に金属中電子の電界放出が生じる。その際に発生する金属構造表面の電流が、テラヘルツ波の発生源であると考えられる。また、金属構造の制御によって、テラヘルツ波発生効率やスペクトル制御が可能であると考えられる。レーザー光に対して共鳴するナノ構造と、発生するテラヘルツ波に対して共鳴するマイクロメートル構造が共存する金属構造を作製した。光およびテラヘルツ波それぞれの波長域で、構造に起因する共鳴を示す透過スペクトルが得られた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
巻: 9 ページ: 3280
10.1038/s41598-019-39604-5
Applied Physics Letters
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