本研究では、ブロック共重合体中の化学結合点に電子顕微鏡で直接観察可能な可視化点を導入し、3 次元電子顕微鏡法によって化学結 合点の空間配置を明らかにすることで、ミクロ相分離構造を分子レベルで解明にすることを目的としている。本年度は、昨年度に合成した化学結合点にアルキン基を有するジブロック共重合体(Poly(styrene-b-2-vinylpyridine))に対して、アジド基を有する金粒子のクリック反応について検討を行った。クリック反応時において、ポリマー分子鎖(分子量20万)内に1つだけ存在するアルキンをH-NMR等の分光法で追跡することは非常に困難であるため、低分子を使ったモデル反応を行うことで反応条件の探索を行った。特に、クリック反応時における触媒として銅触媒およびルテニウム触媒を用いて検討を行った。その結果、臭化銅(I)を触媒にTHF溶液中で40度以上に加熱することで、定量的に反応が進行する条件を見出した。この反応条件で目的とするジブロック共重合体と金粒子とのクリック反応を行うことで、ブロック共重合体中の化学結合点に電子顕微鏡で直接観察可能な可視化点を導入したポリマーを合成した。 一方で、クリック反応前のジブロック共重合体のTHF溶液からキャストフィルムを作製した。得られたバルクフィルムからウルトラミクロトームを用いて超薄切片を作製し、ヨウ素染色を行った後、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行った。その結果、設計通りのラメラ構造が形成されていることを確認した。
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