研究実績の概要 |
本研究は、最近研究代表者が提唱している"超分子アロステリックシグナル増幅センシング(Supramolecular Allosteric Signal-amplification Sensing)" (SASS)手法を活用することで、薬理活性物質を標的とした機能性高分子センサーの開発を目的とした。本課題は、生体内で"スマート"に活用されているアロステリック効果に想を得て、認識サイトから離れた部位での変化を鋭敏に捉え、伝播した高分子主鎖から増幅した光学出力を検出する"SASS"の新概念を実践し、汎用性の高い手法として拡大・展開した。 本課題の主な実績としては、SASSに関する総説がJ. Incl. Phenom. Macrocyclic. Chem.に掲載され、本センシング手法へのパラダイムシフトを誘起している。また実際の例としては、水溶液中でのオリゴ糖センシングにおいて、カードラン(多糖)の構造変化が起きる時の水素結合ネットワークへの糖鎖の取り込みが鍵機構であることを突き止めている。この成果については、Chem. Eur. J. 2017, 23, 11272-11278.ならびにJ. Org. Chem.誌に掲載され、大きな反響をよんだ。またこのようなセンシングは、内部因子により制御していたが(温度、溶媒、pHなど)、外部刺激として圧力による動的制御も可能であり、これらの成果は、ChemPhotoChem. 2018, 2, 959-963.およびChem. Eur. J. 2019, 25, 2011-2018.で報告できた。
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