研究課題
前年度までに開発した幾つかの蛍光温度センサーを用いて、様々な階層での温度イメージングに取り組んだ。まず、色素を封入するマトリックスに工夫を施してナノ粒子化した温度センサーが、極めて高い温度感受性(相対蛍光強度変化(%)/温度変化1度)を示すことを見出していたため、これを用いて、細胞・組織のイメージングを行った。近赤外領域に吸収を持つ色素がベースになっていることから、顕微鏡観察視野での自家蛍光も低く、生体組織イメージングに適当であることが確認できた一方、細胞や組織の中で、比較的短い時間で、マトリックスから色素が漏れ出してしまうことが分かり、それ以上の動物個体イメージングへ進むことを断念した。一方、温度感受性は従来と大きくは変わらないが、2光子吸収可能で、且つ、細胞・組織内での安定性も高い分子温度センサーを用いて、共同研究者らと、動物組織サンプルや細胞の凝集塊で温度イメージングを行った(現在、論文準備中)。前年度までに開発した一連の蛍光温度センサー群の中に、現在までに報告されている遺伝子コード型やナノ粒子型の蛍光温度センサーでは、理論上、到達できない場所をターゲットできる特殊な蛍光温度センサーを見出している。本年度は、その細胞内での挙動の評価も行った。これは、熱産生の時空間ダイナミクスを解明する上で、極めて重要な試みであり、慎重に解析を進めている。こうした取り組みにおいて、温度以外の因子を同時に観察することも重要であり、pH、Ca、ATPなどと共に、1細胞のイメージングを行った(本研究の一部である蛍光ATPセンサーの開発は、本年度に論文発表した)。また、新たな切り口として取り組んでいた光音響効果を持つ分子を用いた動物イメージングの実験系を、海外共同研究者と確立した(関連の研究については論文投稿中)。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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