本課題では,人間の目には見えない近赤外光を活用した高効率な光電変換の実現を目指して,励起子相互作用の精密操作を基盤とした近赤外吸収色素群を創製した.分子内に2つの発色団を近接させて導入すると,発色団間で励起子相互作用が生起することで,色素の光吸収域が長波長化することを明らかにした.また,励起子相互作用が色素の光物理特性に及ぼす効果を解明した.さらに,これら色素を用いて有機太陽電池を試作した.色素のエネルギー準位や吸収端の広帯域化と長波長化といった励起子相互作用によってもたらされた特性に起因して,これら色素は近赤外光電変換材料として高い機能を有することが示され,本設計法の優位性を明らかにした.
|