研究課題
本年度は,ポリプロピレンの微視的組織が力学特性に影響を及ぼす影響およびその支配因子について調査するために,ポリプロピレンに熱処理を施すことで異なる微視的組織を有する板材を作成し,その材料特性の評価を行った.また,単軸引張,圧縮試験および二軸引張試験を行いヤング率の測定および等塑性仕事面の作成を行うことによって,微視的組織が引張・圧縮非対称性および降伏挙動に及ぼす影響とその支配因子について評価した.最後にナノインデンタによる超微小押込み硬さ試験を行い,押込み硬さから結晶化条件により異なる各球晶の力学特性を評価した.球晶直径および結晶化度の増加に伴い,引張および圧縮ヤング率が約30 %程度増加し,引張負荷では結晶化度が支配的となり,圧縮負荷では球晶直径が支配的となることが明らかとなった.また,分子動力学法を用いてポリプロピレン非晶相の変形解析を行い,等塑性仕事面を測定した.一部変形条件における微細構造変化を調べた.解析結果から,ポリプロピレン非晶相の降伏曲面は圧縮方向に移動した楕円形になると推測される.引張時と比較して圧縮時の自由体積,絡み点数の変化が小さいことが,引張・圧縮非対称性に寄与していることが示唆された.さらに,トランスクリスタル(TC)層がCFRPPの力学特性に及ぼす影響を調査するために処理条件の異なる試料に対する引張試験及び界面せん断強度の推定を行った.TCはせん断のみならず力学的エネルギーの変化によって形成が誘起されることが示唆された.また,CFRPPの引張強度は界面せん断強度のみならず母材強度の影響を複合的に受けることが明らかとなった.上記の知見に基づき,前年度までに検討した金属材料および高分子材料に関して創製課程で決定される微細組織に基づいて材料の実用における機械特性を表現するCAEシステムを構築した.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
ISIJ International
巻: 3 ページ: 582-589
10.2355/isijinternational.ISIJINT-2019-445
鉄と鋼
巻: 7 ページ: 掲載決定
Journal of Materials Science
巻: - ページ: 掲載決定
https://web.tohoku.ac.jp/aoyagi/