研究課題/領域番号 |
16H06066
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
塚原 隆裕 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 講師 (60516186)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 亜臨界遷移 / 壁乱流 / DNS / 乱流縞 / 粘弾性流体 |
研究実績の概要 |
亜臨界乱流遷移において局在乱流の重要性が注目されており,本研究では閉空間の壁乱流を対象として,(乱流を維持し得る)下臨界レイノルズ数付近での局在乱流が縞状または帯状に持続する大規模間欠構造について直接数値計算(DNS)により調査している.本研究では,複雑化した流れ(粗面壁面・粘弾性流体・固液二相流)における大規模間欠構造のロバスト性,及び下臨界レイノルズ数(グローバル不安定性)と変化の解明を目的として,DNS解析を進めている. 本年度は,粗面平面クエット流の解析にParametric Forcing Approach (PFA) を用いて,Navier-Stokes方程式中に粗さ要素による仮想抵抗力項を付加したシミュレーションコードを開発してきた.その付加項には粗さ要素の高さ・分布形状・配置密度の3パラメータを含み,系統的評価がし易くなるよう提案されている.PFA導入の妥当性を層流条件等で検証した後,平面クエット流における遷移過程が粗面条件によっていかに変化するかを調査した.粗さの分布形状・配置密度は限定し,粗さ高さおよびレイノルズ数を系統的に変化させ,遷移構造の多様性を確認した.粘弾性流体の数値計算にはGiesekus粘弾性モデル構成方程式を用いて,回転系平面クエット流の遷移形態の解析を行い,粘弾性流体特有の非定常状態を発見した.固液二相流については,2-wayカップリングによるDNSコードの開発を進めてきたが,まだ多くの課題が残る.また,DNS検証用の水路(環状流路)作成を行った. 乱流縞の本質的なメカニズムやロバスト性の議論については,Yohann Duguet博士(LIMSI-CNRS)やOlivier Dauchot博士(ESPCI)と共同研究体制にあり,粗面状流れについてはGeert Brethouwer博士(KTH)との共同研究体制を形成している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種複雑流についてDNS解析がおおむね順調に進んでおり,特に粗面平面クエット流の遷移過程については英文学術雑誌に論文投稿し,査読中である.粘弾性流体についても,2017年度の複数の国際会議(査読付き)にて口頭発表を予定している.固液二相流のDNS解析については,まだ大規模計算をする段階に至っていないが,次年度に実施できる見通しである.Yohann Duguet博士とOlivier Dauchot博士との共同執筆論文も現在,準備中である.DNS結果の検証に必要な実験水路(環状流路)も完成し,予備解析結果によればDNSで見られた現象が確認されつつある.
|
今後の研究の推進方策 |
粗面壁面・粘弾性流体・固液二相流の各解析対象について,それぞれ大学院生の協力も得ながら進めていく.粘弾性流体の遷移過程の実験については,Henrik Alfredsson教授(KTH・スウェーデン)と河田卓也博士(東理大)の協力を得つつ,DNS結果の検証をしていく計画である.
|