平成30年度までに実施した試験データの取得,数値解析手法の構築を踏まえ,平成31年度(令和元年)は当初計画通り「高圧タービンの粒子付着解析と冷却設計指針の提案」を実施した.また,平成30年度は当初計画から試験データの取得を延長して行うことを決めており,平成31年度(令和元年)も同じ方針を継続した.したがって,試験と数値解析を継続した. 試験については,数値解析に使用しているモデルを改良するため,これまでに行ってきた粒子画像計測等を活用してデータ取得を継続して進めた.また,平成30年度までに試験を行ってきた平板への粒子付着に加え,円筒試験片への粒子付着試験を行い,タービン翼前縁を模擬した条件でもデータの取得を行った. 数値解析に関しては,JAXAで開発されてきた単相流解析コードUPACSをベースとして,混相流とそれによるマルチフィジックス現象に拡張したUPACS-Impingeをこれまでに開発しており,平成30年度の研究でこのコードに粒子付着現象のモデルを組み込みを行った.このコードを使用して高圧タービン初段静翼のデポジション解析を継続して行った.計算対象には申請者らが別途設計を行ってきた高圧タービン翼を採用し,翼の表面温度と粒子付着の関係を調査することで,目指すべき表面温度分布を検討した.また,合わせて粒子直径が粒子付着に及ぼす影響についても評価を行った. 以上の研究により,高圧タービンへの粒子付着現象を実験的/数値的に調査し,物理的な現象の解明を行った.この研究の成果は,粒子付着の抑制に向けた検討に展開していく予定である.
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