熱音響現象におけるエントロピー生成ΔSの測定を通じて,現象を評価,理解することを試みた.まず熱音響機関を対象として,熱境界層厚さδに対する流路半径rの比を変更しながら熱効率とΔSを測定した.その結果,熱効率の最大点におけるr/δとΔSの最少点におけるr/δは実験範囲において概ね一致した.また,熱音響自励振動を対象に強制同期/非同期時のΔSを計測した.その結果,強制同期/非同期にヒステリシスが生じる領域においては,同期状態においてはΔSが大幅に小さくなる結果を得た.以上の結果は,熱音響現象で生じる多様な現象を見通し良くとらえるために,ΔSの計測が有効であることを示している.
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