研究実績の概要 |
本研究では、申請者が確立してきた半導体ナノワイヤの異種集積技術を用いて、格子欠陥・ミスフィット転位を完全に抑制したIV/III-V族へテロ接合を形成する。この接合界面について、界面欠陥制御技術を確立しつつ、転位のないコヒーレント成長機構などの結晶学的な基礎特性を明らかにするとともに、これらの新しい半導体へテロ接合界面技術を低電圧スイッチ素子・トンネルFETへ応用する。特に、半導体エレクトロニクスの低消費電力化を目指し、Si, Geプラットフォーム上で、新しい半導体接合界面を用いたトンネルダイオード、トンネルFET素子を作製する。さらに、これらの高性能化と集積化を達成することで、超低消費電力型LSIの実現など、新しい低電圧スイッチ素子からなる集積回路の開発へと展開を図ることを目的としている。 平成30年度は、主にトンネルFETの高性能化とトンネルFET回路動作実証に必要な基盤技術の創出に主眼を置き、以下の研究事項を達成した。 (i) 極薄層SOI, Ge-OI層における二次元電子ガスを有したコアマルチシェルナノワイヤ選択成長の確立とトンネル電流の増大を実証(ii) Ge基板におけるSn気相拡散ドーピング技術とドーパントプロファイルの検討(iii) Ge基板上の無転位GaAsナノワイヤバッファー層成長の確立(iv) InGaAs/Ge、GaAs/Geトンネル輸送機構の評価(v)横型InGaAs/Siヘテロ接合型トンネルトランジスタ構造、トンネルダイオード構造のGaAsバッファ層挿入効果について(vi)二次元電子ガスを有したコアマルチシェルナノワイヤを用いたSi/InGaAsヘテロ接合型トンネルトランジスタによる超高効率回路特性の高性能化
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