研究課題
熱酸化SiO2薄膜上の極薄Pt/Fe積層構造にリモートH2プラズマ(H2-RP)を外部非加熱で照射することで、L10規則化合金FePtナノドットが高密度(面密度: ~1011cm-2) 一括形成でき、サイズの異なるFePtナノドットをSi酸化膜を介して積層した構造の電気抵抗は、ドットの磁化状態が平行・反平行で大きく変化することを明らかにした。さらには、FePtナノドットスタック構造上部にAl電極を形成し、FePtナノドットの帯磁状態が電気伝導に及ぼす影響を評価した結果、4.5kOeの磁場印加により着磁後、逆向きに1.2kOeの磁場印加を施すと、電流レベルの顕著な低減が認められた。さらに同方向(初期とは逆向き)に4.5kOe印加後は、再び初期着磁時の電流レベルに戻ることが分かった。電流-電圧特性から、0.5 V時の電流レベルを着磁磁場に対してまとめた結果、初期着磁(4.5kOe)後、逆方向磁場を1.0kOeまで増加した場合、電流レベルは徐々に減少し初期電流レベルの~15%まで抑制される。その後、1.4kOeまでは着磁磁場を増大しても電流レベルの変化は認められないが、1.4kOe以上で電流レベルは徐々に増大し、4.5kOeで初期電流レベルまで回復する。これらの結果は、下層および上層ドットの磁化方向が平行から反平行に変化する際には、保磁力の小さな下層ドットのサイズばらつきが反映されるものの、1.0kOeで着磁したとき、完全に反平行になることで磁気抵抗が最大値を示し、反平行状態から下層ドットと同方向に磁場印加する際には、上層ドットのサイズばらつきを反映して平行状態が実現されたとして解釈できる。
2: おおむね順調に進展している
初年度に、保磁力の異なる規則化合金FePtナノドット2層スタック構造において、4.5kOeで平行磁化状態を実現でき、1.0~2.0kOeを印加することで保磁力の小さな下層ドットの磁化方向のみを制御できることを明らかにしており、予定通り進展している。
今後は、規則化合金ナノドットの形成技術を高度化することで、磁性ハイブリッドドット構造を創成し、低電流密度スピン注入磁化反転を活用した低消費電力抵抗変化メモリを実現する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件) 備考 (1件)
Scientific Reports
巻: 6 ページ: 33409/7pages
10.1038/srep33409 (2016).
Jpn, J. Appl. Phys.
巻: 55 ページ: 01AE20/4pages
http://www.nuee.nagoya-u.ac.jp/labs/miyazakilab/