研究課題/領域番号 |
16H06091
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
渡辺 峻 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70546910)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 情報理論 / 双方向通信 / セキュリティ / 分散計算 |
研究実績の概要 |
昨年度は大きく分けて3つの成果をあげることができた. <双方向通信を用いたマルチユーザユニバーサルプロトコルの提案> マルチユーザの秘密鍵共有ならびにデータ交換の問題において,従来の研究ではデータが生成される分布が既知であることを仮定して研究されていた.しかしながら,現実的には分布を性格に知ることは困難であり,データが生成される分布に依存しないユニバーサルなプロトコルの提案が望まれていた.本研究では,分布が未知である場合でも,最適なデータ交換レートならびに最適な秘密鍵生成レートを有するユニバーサルなプロトコルを提案した.提案したプロトコルは双方向の通信を利用した可変長符号化によるプロトコルであり,未知の分布に対して適応的に最適なレートを達成することができる. <分散関数計算の性能評価法の提案> 分散関数計算の問題において,受信側では観測データには興味がなく,それらを処理した関数値のみに興味があるため,通常のデータ通信における解析手法はあまり使えず,従来の研究では非常に複雑な解析手法によって分散計算プロトコルの性能解析を実施していた.本研究では,分散計算の特徴と関数の構造に基づく新たな性能解析手法を提案した.提案手法は従来の手法では扱えなかったより広いクラスの関数に対して適用可能である. <分散仮説検定におけるNeyman-Pearson型の検定法の提案> 通常の仮説検定における重要な検定法として,Neyman-Pearsonの検定法と,Hoeffdingの検定法がある.分散仮説検定において,従来の研究でHoeffding型の検定法が提案されており,漸近的に最適な性能を有することが明らかにされていた.本研究では,Neyman-Pearson型の検定法を提案し,漸近的にはHoeffding型の検定法と同等な性能を有し,有限長においては従来より優れた性能を有することを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は,申請時に構想を練っていた研究成果を実現し,かつ研究を進めていくうちに新たに着想を得た研究を実施することができた.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,昨年度得られた研究成果をさらに発展させる形で研究を進めていく.また,来年度以降の進展の方向性も模索しながら研究を進めていく.
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