研究課題/領域番号 |
16H06102
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
日下部 貴彦 東京大学, 空間情報科学研究センター, 講師 (80604610)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 交通工学・国土計画 / センサーネットワーク / ITS |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,プローブカーデータなどの詳細かつ広域・長期間の交通データを前提とすることで,交通ネットワークと交通行動の相互作用,時間的・空間的変化を加味したアクティビティベースト交通行動モデルを開発し,これを用いた動的交通ネットワークシステムモデルを構築することにある. 平成29年度は,データ融合手法の改良およびインタラクティブな行動調査プラットフォームの改良を実施した.データ融合手法の改良では,シミュレーションモデルに必要な,商用車プローブカーデータを用いたデータ整理方法の検討および交通モデルの検討を行った.インタラクティブな行動調査プラットフォームの改良では,活動選択や経路選択などのday-to-dayの行動について数ヶ月以上の観測に必要な調査ツールを構築した.具体的には,先行研究で構築したスマートフォンなどの高機能携帯型通信端末を用いた調査プラットフォームの構成要素である移動滞在判別手法及びユーザーインターフェイスを改良し,スマートフォン端末への実装を行った.改良した調査プラットフォームを用いて,高知市で検証調査を実施し提案手法の有効性を実証した.これらの結果に基づいて,次年度のシミュレータの開発に必要なデータ収集方法について検討することができた.また,これまでの研究成果を踏まえて,国際ミニワークショップ"Big Data and Transportation Dynamics"を開催し,研究の方向性について議論することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交通モデルの検討やデータ収集方法の検討が順調にできており,その一部の成果として学術雑誌,交通工学に解説論文が掲載されたほか,各要素技術についての研究成果をとりまとめ国内外での学会(IEEE International Conference on Intelligent Transportation Systems等)での発表を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果を踏まえ,アクティビティベーストモデル構築とマルチエージェント交通シミュレータ構築のサブテーマを推進する.前者では,前年度に開発したインタラクティブな行動調査や大量のプローブカーなどの観測データなどの大量のデータに基づいて日々の交通需要の変化に対応した交通行動モデルを構築する.後者では,上記のアクティビティベーストモデルと交通流の特性を加味した動的な交通システムモデルを統合したマルチエージェントシミュレータを構築する.本研究の部分的な成果をまとめ,IATBR(International Conference on Travel Behaviour Research)などの学会等で発表を行うとともに,論文誌にまとめる.また,交通行動観測・分析に関する最新の技術を収集するため,国内外の学会等(例えば, IEEE International Conference on Intelligent Transportation Systems等)での資料収集を行う予定である.
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