研究課題
遷移金属酸化物は、従来の半導体や金属を凌ぐ多彩な機能や物性を有することから、新しいエレクトロニクス材料として活用する研究が急速に進んでいる。作製技術の向上に伴い、低次元界面構造を1原子層スケールで人工合成することが可能となり、自然形成されるバルク結晶にはない電子物性を発現させることが期待できる。本研究では、LaAlO3/SrTiO3接合に着目し、最表面に自発的に形成されるTiO2原子シートの構造的特異性に基づいた電子物性への効果を検証することを目的とし、低温電子輸送特性を評価する研究を実施した。平成30年度は、以下の研究を実施するとともに、3年間の成果を総括した。SrTiO3(√13×√13)-R33.7°再構成基板表面を使用することによって、原子レベルの薄膜成長過程の解明とTiO2原子シートが内在するLaAlO3/SrTiO3接合の構造や電子状態を明らかにした。この再構成基板上の試料は2原子層で電気伝導性が発現し、低温まで金属伝導を示した。ホール効果から、室温にて2x1014 cm-2の高い電子濃度を蓄積していることを確認した。これは、TiO2シートが表面不活性化に貢献し、表面への電子移動を抑制した結果である。さらに、原子レベルで急峻な界面構造によって、高いホール移動度を示した。ユニークな構造に起因する高い電子濃度と移動度の共存に注目し、低温での磁気輸送特性を調べた。試料に対して垂直または水平磁場印加において、それぞれ先行研究を上回る高い正および負の磁気抵抗比を見出した。また、2次元的な磁気伝導と面内異方性の観測に成功した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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